第109回 助産師国家試験(午前)助産診断・技術学

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Aさん(42歳、初産婦)は順調な妊娠経過であったが、妊娠38週の妊婦健康診査で妊娠高血圧症候群と診断されたため、分娩誘発で経腟分娩した。産褥1日、突然「胃のあたりが痛い」と訴え、苦悶様表情を浮かべている。意識は清明で呼吸数24/分、脈拍100/分、血圧160/104 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)である。直ちに行うべき検査はどれか。

  1. 1頭部CT検査
  2. 2血液ガス分析
  3. 3肝機能の血液検査✓ 正解
  4. 4胸部エックス線撮影
  5. 5上部消化管内視鏡検査

正解

3

解説

妊娠高血圧症候群の産婦の産褥1日に上腹部痛・苦悶様表情を生じた際、直ちに行うべき検査を問う設問である。高血圧(160/104 mmHg)を背景とした心窩部・上腹部痛は、HELLP症候群や肝被膜下血腫など重症型妊娠高血圧症候群に伴う肝障害を強く疑わせる所見である。まず肝機能を含む血液検査(肝酵素、血小板、溶血所見など)で病態を評価することが優先されるため、正答は選択肢3である。


選択肢の解説

1誤り。頭部CTは頭蓋内出血など中枢神経症状を疑う場合の検査であり、上腹部痛を主訴とする本事例で直ちに行うべき検査ではない。
2誤り。SpO2 98%(room air)と呼吸状態は保たれており、まず行うべきは肝障害を評価する血液検査である。
3正しい。高血圧を背景とした上腹部痛はHELLP症候群や肝被膜下血腫など肝障害を疑う所見であり、肝機能を含む血液検査で病態評価を行うことが最優先である。
4誤り。胸部エックス線は呼吸器・循環器病変の評価に用いるもので、上腹部痛と高血圧を呈する本事例で直ちに行うべき検査ではない。
5誤り。上部消化管内視鏡は消化性潰瘍等を疑う場合の検査だが、産褥の高血圧と上腹部痛ではまずHELLP症候群を念頭に肝機能の血液検査を優先する。

用語

産褥
分娩後の産婦が妊娠前の状態に回復するまでの期間。通常6〜8週間を指し、この時期に特有な病態や合併症が生じやすい。本設問では産褥1日という妊娠高血圧症候群の重症化リスクの高い時期の症状観察が重要である。
苦悶様表情
極度の苦痛や不安を感じている時の特徴的な表情。眉をひそめ、目を細め、口を引き結ぶなどの表現を示す。産褥期の上腹部痛と併せて重症型妊娠高血圧症候群や肝障害の臨床的徴候となる。
経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉
パルスオキシメータで測定される動脈血中の酸素飽和度の割合。通常は96〜100%で、低下は呼吸不全や循環不全を示唆する。本設問では正常値を示しており、呼吸困難は除外される。
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