問53
Aさん(19歳、初産婦)は高校在学中に妊娠し、卒業後、妊娠38週で近くのクリニックで出産し、母子ともに経過良好である。Aさんは現在、実母と同居している。パートナー(18歳、アルバイト)は近隣に住み、入籍はしたが同居の予定はない。退院2週後、市の助産師がAさん宅への新生児訪問を実施した。Aさんは「母やパートナーは仕事で忙しく、話をする時間がなくて寂しい。入院時に育児のことを教えてもらったけど、どうしていいか分からなくなることがある。赤ちゃんはよく泣きます。母乳をあげた後、不安なのでミルクを追加しています」と話した。児の前額には脂漏性湿疹がみられた。児の衣服は整っている。母乳分泌は良好で、児の体重増加は60 g/日である。助産師は、児の洗顔と体温調節の方法を指導し、母乳だけで様子を見るように伝えた。
Aさんの妊娠をきっかけに、高校では性教育の必要性を実感し、市の助産師に性教育を依頼した。依頼を受けた助産師は、包括的セクシュアリティ教育を取り入れた性教育を行うことにした。教育内容に取り入れるのはどれか。2つ選べ。
- 1対人関係スキル✓ 正解
- 2性感染症を予防する具体的な方法✓ 正解
- 3避妊具を携帯するのは恥ずかしいこと
- 4人工妊娠中絶は倫理的に問題であること
- 5性に対する社会共通の価値観を守ること次の文を読み54、55の問いに答えよ。Aさん(71歳、女性)は現在夫と2人暮らしで、2人の子どもは独立している。朝のウォーキングを日課にしている。閉経して20年が経過した。子宮がん検診で来院した際に「少し恥ずかしい話なのですが、最近、腟の中が痒くて熱い感じがします。それに、たまに夫に性交を求められても、痛くて困っています」と静かに話し「我慢すれば症状が治まると思う」と言う。外陰部に発赤や潰瘍はみられず、性器出血はない。
正解
1・2
解説
包括的セクシュアリティ教育(comprehensive sexuality education)の内容を問う問題である。包括的セクシュアリティ教育は、人権とジェンダー平等を基盤に、人間関係、価値観・態度・スキル、身体の発達、性と生殖に関する健康などを科学的根拠に基づき肯定的に学ぶもので、対人関係スキル(1)や性感染症を予防する具体的方法(2)はその中核的内容に含まれる。よって1と2が正しい。避妊具の携帯を恥ずかしいこととする、人工妊娠中絶を倫理的に問題と断じる、特定の社会共通の価値観の遵守を押し付ける、といった内容は、否定的・抑圧的で価値観を一方的に強制するものであり、包括的セクシュアリティ教育の理念に反する。
選択肢の解説
用語
- 包括的セクシュアリティ教育
- 人権とジェンダー平等を基盤として、人間関係、価値観・態度・スキル、身体の発達、性と生殖に関する健康などを科学的根拠に基づき肯定的に学ぶ教育。対人関係スキルや感染症予防など、多角的で包括的な視点から性に関する知識と態度を育成することが特徴です。