第109回 助産師国家試験(午後)状況設定助産診断・技術学

55

状況設定 問53-55

Aさん(35歳、経産婦)は身長158 cm、非妊時体重52 kg。5年前に第1子を隣市の総合周産期母子医療センターにおいて正期産で正常分娩で出産した。今回も同じ施設で妊娠8週から受診し、経過は順調といわれている。妊娠18週3日に助産所を初診で訪れ「上の子のときは新型コロナウイルスに感染して家族の立ち会いができず、1人で出産しました。今回は家族に囲まれて自宅で出産したいです。できるでしょうか」と相談した。

Aさんは39週5日に助産所で第2子を正常分娩で出産した。出生時Apgar〈アプガー〉スコア1分後9点、5分後10点。出生時体重2,850 g。生後2日から肉眼的に顔面の黄染を認めた。生後4日、体重2,800 gで退院した。生後7日に助産師が自宅を訪問したところ、顔から胸まで黄染を認めた。児は母乳栄養で退院からの体重増加は30 g/日であり、便は5回/日、尿もよく出ているとのことである。このとき、助産師が行うアドバイスで正しいのはどれか。

  1. 1「母子健康手帳のカードを使って今後も便の色を確認しましょう」✓ 正解
  2. 2「日中の授乳後は湯冷ましで水分を補足しましょう」
  3. 3「夜間はミルクを補足しましょう」
  4. 4「母乳性の黄疸は心配ないです」

正解

1

解説

正期産・正常分娩で生まれた母乳栄養児が、生後7日で顔から胸まで黄染を認めるが体重増加30g/日と良好で排便・排尿も良好な状況での助産師のアドバイスを問う問題である。生後7日の黄染で哺乳・体重増加・排泄が良好な場合は遷延性(母乳性)黄疸が考えられ経過観察が基本だが、胆道閉鎖症など病的黄疸を見逃さないため、母子健康手帳の便色カードを用いて今後も便の色を確認し灰白色便がないか観察を続けるよう指導することが適切で、選択肢1が正答である。母乳栄養が確立し体重増加も良好なため、湯冷ましでの水分補足やミルク補足は不要であり母乳育児を妨げる。母乳性黄疸が考えられても、便色の確認など病的黄疸の見逃し防止が重要であり「心配ない」と断定して観察を終了させるのは適切でない。


選択肢の解説

1母子健康手帳の便色カードで今後も便色を確認し、胆道閉鎖症など病的黄疸を示す灰白色便を見逃さないよう観察を続ける指導は適切で正しい。
2母乳栄養が確立し体重増加も良好であり、湯冷ましでの水分補足は黄疸軽減に有効でなく母乳育児を妨げるため不適切である。
3体重増加30g/日と良好で母乳分泌に問題はなく、夜間のミルク補足は必要なく母乳育児を妨げるため不適切である。
4母乳性黄疸が考えられても、便色確認など病的黄疸の見逃し防止が重要であり、「心配ない」と断定して観察を終えさせるのは不適切である。

用語

Apgar〈アプガー〉スコア
出生直後の新生児の健康状態を評価するスケール。心拍数、呼吸、筋緊張、反射、皮膚色を各0~2点で評価し、合計10点満点。1分後と5分後に測定され、新生児の蘇生の必要性や予後判定に用いられる。
この問題から続けて演習する