第112回 保健師国家試験(午前)状況設定公衆衛生看護学

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状況設定 問39-41

Aさん(34歳、男性、会社員)は、妻(30歳)と長女(生後7か月)の3人暮らしである。妻と長女が乳児健康相談のため保健センターに来所した。妻から「夫が毎日20本以上喫煙しています。子どもへの影響が心配です」と保健師に相談があった。

面談の中で、Aさんは「私は父を尊敬していて、父のタバコを吸う姿にも憧れているのだと思います。父はがん検診を毎年受けていますが問題はなく、そんな父の息子ですから私も大丈夫です」と保健師に話した。自宅では換気扇の下、職場では喫煙ルームで喫煙しているとのことだった。Aさん家族と保健師の関係をエコマップに示す。Aさんの禁煙に向けた働きかけで最も適切なのはどれか。

  1. 1妻から禁煙外来を勧める。
  2. 2父親から禁煙のメリットを説明する。
  3. 3母親から喫煙と肺がんの恐ろしさを説明する。
  4. 4妻から喫煙によって長女の健康被害が生じることを説明する。✓ 正解
  5. 5保健師から喫煙と疾病との関連をエビデンスに基づいて説明する。

正解

4

解説

受動喫煙対策と行動変容支援の優先順位を問う問題である。本人が「父のように喫煙していても大丈夫」という非合理的な信念を持ち、換気扇下や喫煙ルームでの喫煙で配慮しているつもりでいるため、抽象的な疾病リスクの説明だけでは行動変容に結びつきにくい。最も身近で具体的な動機づけとなるのは、生後7か月の長女という守るべき対象への受動喫煙(衣服や室内に残留する三次喫煙を含む)の害であり、本人が大切にしている家族を介して切実な健康影響を伝えることが、禁煙への内発的動機を引き出す最も適切な働きかけとなる。エコマップ上で本人と強い結びつきを持つ妻から伝えることで受け入れられやすくなる。


選択肢の解説

1妻からの禁煙外来の勧めは具体的な行動の提案だが、本人にまだ禁煙の動機が乏しい段階でいきなり外来受診を促しても受け入れられにくい。動機づけが先行すべきである。
2父親は本人が憧れている喫煙者本人であり、その父から禁煙のメリットを説明させても説得力に欠け、むしろ本人の喫煙正当化を強める可能性があり適切でない。
3肺がんの恐ろしさという恐怖喚起は、毎年がん検診で問題のない父を引き合いに「自分は大丈夫」と考える本人には響きにくく、行動変容の動機づけとして弱い。
4正しい。本人が大切にしている長女への受動喫煙被害という切実で具体的な影響を、身近な妻から伝えることで、本人の守りたい気持ちに働きかけ禁煙の動機を高める最も適切な支援である。
5保健師によるエビデンスに基づく疾病関連の説明は重要だが、第三者からの一般的・抽象的な情報提供であり、すでに「自分は大丈夫」と考える本人の信念を変える力としては最も適切とはいえない。

用語

エコマップ
個人または家族が社会環境とどのような関係(結びつきの強さ、内容)を持っているかを図式化するアセスメント方法です。医療・福祉専門職が支援対象者の社会的ネットワークを可視化し、関係性の質・量を評価する際に用いられます。
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