第112回 保健師国家試験(午前)状況設定公衆衛生看護学

49

状況設定 問48-50

A市で震度6強の地震が発生した。発災後9日目、立ち上げた10か所の避難所では、他自治体から派遣された保健師チームが、避難所の環境整備や避難者の健康観察を行っている。

発災後2か月が過ぎ、A市では親族宅へ引っ越したり仮設住宅へ入居したりする人も増えてきた。保健師は、被災者の中に生活再建に希望を持てず不安が強い人や、家族を失い孤独感を強めている人、避難先でこれまでのコミュニティを失い役割を見出せず無気力になっている人、これらによって閉じこもりがちになっている人等、支援が必要な人が複数いることを把握している。この時期の仮設住宅での保健活動で適切なのはどれか。

  1. 1住民同士が語り合える場をつくる。✓ 正解
  2. 2罹災証明を発行する窓口を立ち上げる。
  3. 3深部静脈血栓症〈DVT〉の予防啓発をする。
  4. 4課題が把握できている人を優先して対応する。

正解

1

解説

発災後2か月の仮設住宅における保健活動として適切なものを問う問題である。この時期は生活再建への不安、家族喪失による孤独感、コミュニティ喪失による役割喪失・無気力・閉じこもりなど、孤立に関連する心理社会的課題が中心となる。これらに対しては、住民同士が語り合える交流の場をつくることで、新たなつながりや役割を生み出し、孤立を防いでコミュニティを再構築する支援が適切である。心のケアと孤立予防を同時に図る集団的アプローチが求められる時期である。


選択肢の解説

1正しい。孤独感や役割喪失、閉じこもりが課題となるこの時期に、住民同士が語り合える場をつくることは、新たなつながりと役割を生み孤立を防いでコミュニティを再構築する適切な保健活動である。
2罹災証明の発行窓口立ち上げは行政手続きであり保健師の保健活動ではなく、発災後2か月のこの時期の心理社会的課題への対応としても適切でない。
3深部静脈血栓症の予防啓発は車中泊や避難所での長時間同一姿勢が問題となる発災初期に重要であり、仮設住宅期の中心課題である孤立への対応としては優先度が低い。
4課題が把握できている人への対応も必要だが、把握されていない閉じこもりがちな人を含め広く支援につなげる必要があり、把握できている人を優先するという方針は適切でない。

用語

仮設住宅
災害被害者が受け入れられる、行政が設置する一時的な住居。発災直後から数か月間、被災者の居住確保と生活再建支援の基盤となる施設である。
コミュニティ
地域内の共通の価値観や相互扶助により形成される社会集団。災害時には既存コミュニティの喪失による孤立や無気力が課題となり、新たなつながりの再構築が保健活動の重要なテーマとなる。
閉じこもりがち
社会的な交流や活動に参加せず、自宅に引き籠もる傾向。災害後のコミュニティ喪失、役割喪失、孤独感などにより生じやすく、心身の健康低下につながる懸念がある。
この問題から続けて演習する