第112回 保健師国家試験(午前)状況設定公衆衛生看護学

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状況設定 問51-53

A市の国民健康保険を担当する保健師は、加入者の平均年齢が上昇していることを把握したため、データヘルス計画を見直すこととした。

A市のB地区担当保健師は、B地区の健康づくり計画を策定することとした。健康づくり計画を策定するにあたり、地域の住民や民生委員などが集まり、健康診査受診率の向上について重点的に検討する会議を開催することとなった。会議では「健診は大切」という意見があった一方、一部の人から「仕事が忙しくて健診に行けない」「健診を受けなくても元気な人がいる」「病気になったら病院を受診して治療をすればよい」等の意見もあった。会議でB地区担当保健師がコミュニティエンパワメントを促す支援として最も適切なのはどれか。

  1. 1健康診査の制度について説明する。
  2. 2健康診査の実施時期について要望を聞く。
  3. 3健康診査を受診せず疾病が重症化し失業した事例を紹介する。
  4. 4健康診査を受診することについてどのような認識があるか参加者にさらに発言を促す。次の文を読み54、55の問いに答えよ。Aさん(32歳、女性)は1人暮らしで、両親はB市内でAさんと別に生活している。Aさんは会社で「自分はなんでもできる」と言い、同僚とトラブルを起こして、27歳で退職となった。翌年、無理な自動車運転による交通事故を起こし、入院先の病院で双極症〈双極性障害〉と診断された。1か月の入院ののちに退院したが、その後はアルバイトを転々としながら暮らしている。ある日、母親がB市保健センターに来所し「Aの自宅に行ったら、ずっと布団に入ったまま、食事もちゃんと摂っていないようです。Aは眠れない、死にたいと言っている。どうしたら良いでしょうか」と相談があった。地区担当保健師が母親と一緒にAさん宅を訪問した。Aさんは、痩身で顔は青白く、表情は乏しい。✓ 正解

正解

4

解説

健康づくり計画策定の会議でコミュニティエンパワメントを促す支援を問う問題である。コミュニティエンパワメントとは、住民自らが地域の健康課題を主体的に考え、解決に向けて力をつけていく過程を支援することである。健診に否定的な意見も含めて参加者がさらに自由に発言できるよう促すことは、住民自身の認識を引き出し対話を深め、主体的な課題理解と合意形成につなげる支援であり、専門家が一方的に正解を与えるのではなく住民の主体性を高めるエンパワメントとして最も適切である。


選択肢の解説

1健診制度の説明は知識提供として有用だが、保健師が一方的に情報を与える支援であり、住民の主体性を高めるエンパワメントの観点では最も適切とはいえない。
2実施時期の要望を聞くことは住民参加の一形態だが、論点を運営面に限定してしまい、住民自身の認識を広く引き出すエンパワメント支援としては最も適切とはいえない。
3重症化し失業した事例の紹介は恐怖喚起による説得に近く、住民が主体的に考える過程を支えるエンパワメントとはいえないため適切でない。
4正しい。健診受診への認識について参加者にさらに発言を促すことは、住民自身の考えを引き出し対話を通じて主体的な課題理解と合意形成を支える、コミュニティエンパワメントとして最も適切な支援である。

用語

コミュニティエンパワメント
住民自らが地域の健康課題を主体的に認識し、その解決に向けて力をつけていく過程を支援する保健活動の手法です。専門家が一方的に指導するのではなく、住民の自主性と問題解決能力を高めることを目的とします。
民生委員
地域の福祉問題全般について住民からの相談に応じ、地域と福祉行政を結ぶ役割を担う非常勤の公務員です。住民の生活実態を把握し、地域の福祉向上に貢献する重要な職務を行います。
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