問13
Aさん(32歳、初産婦)は40週4日で3,200 gの男児を正常分娩で出産し、母児同室で過ごしている。産後3日の夜、助産師に「授乳するたびに右の乳首が痛くて我慢できません」と話した。観察すると両乳房とも緊満しており、右乳頭はやや短めで10時〜12時の方向に損傷を認めた。痂皮が形成されており、出血はない。児の口腔内に異常は見られず、本日の体重は3,050 gである。助産師がAさんに行うケアで適切なのはどれか。
- 1縦抱きでの授乳姿勢を勧める。
- 2乳頭の乾燥を図り、日光に当てる。
- 3授乳前に乳輪をほぐすよう搾乳する。✓ 正解
- 4夜間は人工乳を補足してAさんを休ませる。
正解
3
解説
産後3日、両乳房緊満と乳頭損傷(痂皮形成)による授乳時痛を訴える褥婦へのケアを問う問題である。正答は3の授乳前に乳輪をほぐすよう搾乳する。両乳房が緊満し乳輪部が硬いと、児が乳輪まで深く含めず乳頭だけを浅く吸啜してしまい、乳頭損傷の原因となる。授乳前に少量搾乳して乳輪部を柔らかくほぐすことで、児が乳輪を含んだ深い吸着(ラッチオン)ができるようになり、乳頭への負担が軽減し損傷の改善・予防につながる。児の体重は出生時3,200 gに対し3日目3,050 gで、生理的体重減少の範囲内であり哺乳は良好である。
選択肢の解説
1縦抱きも授乳姿勢の選択肢だが、本症例の主因は乳房緊満による浅い吸着であり、姿勢の変更だけでは根本的な解決にならない。まず乳輪をほぐすケアが優先される。
2乳頭を日光に当てて乾燥させるケアは現在推奨されておらず、痂皮を形成した損傷部の治癒には適切でない。湿潤環境での創傷治癒や正しい吸着の改善が重要である。
3正しい。授乳前に搾乳して緊満した乳輪をほぐすことで児が乳輪まで深く含めるようになり、乳頭への負担が減って損傷の改善・予防につながる。
4母乳分泌は確立しつつあり児の哺乳も良好(体重減少は生理的範囲)であるため、医学的に人工乳の補足は必要なく、安易な補足は母乳育児の確立を妨げるおそれがある。
用語
- 痂皮
- 組織の損傷部位が治癒過程で形成される、壊死した組織と滲出液から成る痂状の膜。この設問では乳頭の損傷を修復する過程で形成され、正常な治癒の徴候を示しています。
- 緊満
- 乳房に乳汁が充満して張った状態。産後2~3日に多くみられ、乳輪部が硬くなると児が乳輪を含んだ正しい吸着ができず乳頭損傷につながります。
- 損傷
- 組織や器官が傷つけられた状態。この設問では繰り返しの不適切な吸啜により乳頭に生じた傷を意味しており、授乳時痛の原因となっています。