問33
Aさん(28歳、経産婦)はオキシトシン点滴静脈内注射を使用し、体重3,000 gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間は12時間、会陰裂傷はⅠ度で縫合せず、産道損傷はない。分娩時出血量は400 mLだった。分娩後1時間のバイタルサインは異常所見なく、出血量30 mL、子宮底は臍下1横指であった。分娩後2時間のバイタルサインは異常所見なく、出血量50 mLであり、子宮底は臍下1横指で硬度は輪状マッサージにて良好であった。尿意はなく、膀胱充満をわずかに触知した。このときのAさんへの助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1内診を行う。
- 2トイレ歩行を促す。✓ 正解
- 31時間後に出血量を観察する。✓ 正解
- 4飲食を控えるように説明する。
- 5点滴静脈内留置針を抜去する。
正解
2・3
解説
正常分娩後2時間の経過が良好(出血量・子宮収縮・バイタルサインに異常なし)で、膀胱充満をわずかに触知し尿意がない褥婦への対応を2つ選ぶ問題である。正答は「トイレ歩行を促す」と「1時間後に出血量を観察する」である。膀胱充満は子宮収縮を妨げ弛緩出血の誘因となるため、分娩後2時間が経過し全身状態が安定していることを確認したうえでトイレ歩行を促して自然排尿を図り、その後も出血量の観察を継続することが適切である。
選択肢の解説
1誤り。出血量は少なく子宮収縮も良好で産道損傷もないため、内診を行う適応はない。不要な内診は感染リスクや褥婦の負担となる。
2正しい。膀胱充満は子宮収縮を妨げ弛緩出血の誘因となるため、分娩後2時間が経過し全身状態が安定していることを確認のうえトイレ歩行を促し、自然排尿を図ることが適切である。
3正しい。分娩直後は弛緩出血などのリスクがあるため、経過が良好でも引き続き1時間後に出血量を観察し、子宮収縮や出血の状態を継続的に確認することが適切である。
4誤り。正常分娩で全身状態が安定しているため、飲食を控える必要はない。分娩後は水分・栄養の補給を促すことが望ましい。
5誤り。オキシトシンの点滴は子宮収縮維持や弛緩出血への対応に必要となりうるため、分娩後2時間の時点で直ちに留置針を抜去するのは適切でない。出血・子宮収縮の経過を確認しながら判断する。
用語
- 膀胱充満
- 分娩後、尿意がないまま膀胱に尿が貯留した状態。膀胱充満は子宮収縮を妨げ、弛緩出血の誘因となるため、分娩後の褥婦管理において重要な観察項目である。
- 会陰裂傷
- 分娩時に会陰部が裂傷する損傷で、Ⅰ度(粘膜層)から Ⅳ 度(肛門括約筋損傷)に分類される。本問例では Ⅰ 度で縫合を要しない軽度の損傷である。
- 輪状マッサージ
- 分娩後、子宮の収縮と硬度を維持するため、子宮底を円を描くように手でマッサージする操作。弛緩出血を予防し子宮復古を促進するための基本的な看護技術である。