問114
状況設定
Aさん(22歳、男性)は、高校卒業後に就職したが、同僚との関係がうまく築けず、転職を繰り返している。「他の人と自分はどこか違う。自分の将来が不安だ」と感じたAさんは精神科クリニックを受診し、自閉症スペクトラム障害と診断された。Aさんは小学生のころから他人の気持ちが理解できないときがあり、対人関係を築くことが苦手で、学校で孤立していた。また、偏食が強く、るいそうがみられたために、同級生から容姿のことでいじめられたことがあった。中学校や高校では忘れ物が多く、集団生活になじめなかった。
就労移行支援を利用し、Aさんは仕事を始めたが、苦手な仕事内容が多く、失敗が続いているため同僚から注意を受け続けている。外来看護師は、Aさんから「毎日が憂うつでつらい。ストレスが溜まるのでどうしたらよいか」と相談を受けた。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 1仕事に慣れるまで待つように説明する。
- 2憂うつな気分について詳しく話してもらう。✓ 正解
- 3職場の同僚とうまく付き合う方法を考えてもらう。
- 4外来看護師が行っているストレス発散方法を指導する。
正解
2
解説
就労後にストレスを抱え「憂うつでつらい」と訴える患者への対応を問う状況設定問題である。まず行うべきは、Aさんの訴えを傾聴し、憂うつな気分やつらさについて本人に詳しく語ってもらうことである。気持ちを十分に受け止めることで状況や困りごとを具体的に把握でき、信頼関係を保ちながら適切な支援につなげられる。したがって本人の感情を引き出す選択肢2が適切である。なお助言や対処法の提示は、訴えを十分に聴いた後に本人と一緒に検討すべき段階である。したがって正答は選択肢2である。
選択肢の解説
1つらさを訴えているAさんに「慣れるまで待つ」と説明するのは、本人の苦痛を受け止めず我慢を強いる対応であり、まず行うべき傾聴になっていない。
2正しい。憂うつな気分について詳しく話してもらうことで、Aさんの苦痛や困りごとを具体的に把握でき、感情を受け止めて支援につなげる第一歩として適切である。
3同僚とうまく付き合う方法を考えてもらうのは、つらさを十分に傾聴する前に解決策の検討を求める対応である。ASDで対人関係が苦手なAさんに負担を強いる点でも、この段階では適切でない。
4看護師自身のストレス発散法を指導するのは、Aさんの個別の状況や訴えを踏まえておらず一方的である。まず本人の気持ちを聴くことが優先され、適切でない。
用語
- 就労移行支援
- 障害者が一般企業への就職を目指し、必要な知識・技能の習得や職業訓練を受けられる福祉サービス。利用者の適性を見極めながら、段階的に職場への適応を支援します。