問116
Aさん(87歳、女性、要介護1)は1人暮らしで、長女(52歳、会社員)が同じマンションの隣の部屋に住んでいる。5年前に乳癌のため乳房切除術を受けた。1年前に肺への転移が確認され、胸水の貯留への対応療法のため入退院を繰り返していた。退院後は、状態観察と体調管理のため大学病院の外来を月に2回受診し、訪問介護と訪問看護を週に1回ずつ利用して在宅療養を続け「これ以上の積極的な治療はせずに自宅で最期まで過ごしたい」と話している。 ある日、長女から「最近、母は通院がつらそうで、先月は1回しか受診していません。医師の診察は大事だと思うので、受診を続けるために主治医に何を相談すればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
3か月後、Aさんは呼吸状態の悪化のため在宅酸素療法〈HOT〉(3L/分、24時間)を受けることになった。要介護3に変更され訪問看護を週に3回利用することになった。毎日午前は訪問介護、午後は長女が介護休業制度の短時間勤務等の措置を利用して介護することになった。訪問介護員から「Aさんの食事を作り、食べた後の片付けをしているのですが、Aさんが食事の後に少し息が苦しいことがあります。どうすればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。 訪問介護員への助言で適切なのはどれか。
- 1「食事を介助しましょう」
- 2「食事の後に短速呼吸を促しましょう」
- 3「食事以外の時間は安静に過ごしてもらいましょう」
- 4「Aさんの1回分の食事量を減らし回数を増やしましょう」✓ 正解
正解
4
解説
在宅酸素療法中の終末期患者にみられる食後の呼吸困難への助言を問う状況設定問題である。Aさんは肺転移と胸水貯留があり呼吸機能が低下している。食事を摂ると胃の充満により横隔膜が挙上・圧迫され、また消化のための酸素需要が増えて食後に息苦しさが生じやすい。これに対しては1回の食事量を減らして回数を増やす(分割食・少量頻回食)ことで、胃の過度の充満と横隔膜の圧迫を避け、食事に伴う呼吸困難を軽減できる。したがって正答は選択肢4である。
選択肢の解説
用語
- 在宅酸素療法〈HOT〉
- 患者の自宅で酸素を投与する療法。慢性呼吸不全や末期がん患者の呼吸困難緩和に用いられます。本設問では3L/分、24時間投与されており、胃の充満による横隔膜圧迫で呼吸困難が増悪しやすい状態を示しています。