問67
Aさん(55歳、男性)は筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉で、経口摂取と胃瘻による経管栄養を併用し、在宅療養することになった。Aさんと家族への指導内容で適切なのはどれか。
- 1水分は経口による摂取とする。
- 2経口摂取中は頸部前屈位とする。✓ 正解
- 3経管栄養剤以外の注入を禁止する。
- 4注入時間に合わせて生活パターンを変更する。
正解
2
解説
ALS(筋萎縮性側索硬化症)では球麻痺により嚥下障害が進行し、誤嚥のリスクが高い。経口摂取の際は、頸部を前屈位(顎を引いた姿勢)にすることで気道が狭まり食道が開きやすくなり、誤嚥を予防できる。したがって経口摂取中は頸部前屈位とするが適切である。経口と胃瘻による経管栄養を併用する目的は、安全に摂取できる範囲で経口を楽しみつつ、不足分や水分・誤嚥リスクの高いものを胃瘻で補うことにある。
選択肢の解説
1誤り。ALSでは水分でむせやすく誤嚥しやすい。経口摂取と胃瘻を併用しているため、誤嚥リスクの高い水分はとろみをつけたり胃瘻から注入するなど、経口に限定しない方がよい。
2正しい。頸部前屈位(顎を引いた姿勢)にすると気道への流入を防ぎ誤嚥を予防できるため、経口摂取中は頸部前屈位とするのが適切である。
3誤り。胃瘻からは経管栄養剤のほか、白湯や指示された水分・薬剤なども注入できる。経管栄養剤以外の注入を一律に禁止する必要はない。
4誤り。在宅療養では患者・家族の生活リズムを尊重し、生活に合わせて注入時間を調整するのが原則であり、注入時間に生活を合わせて変更させるのは適切でない。
用語
- 筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
- 脳と脊髄の運動神経細胞が進行的に死滅する難病。球麻痺による嚥下障害と筋力低下が進行し、経口摂取が困難になるため、経管栄養による栄養管理が必要となります。
- 胃瘻
- 胃壁を腹壁に固定して作成した栄養補給の経路。経口摂取が困難な患者の栄養摂取や水分補給に用いられ、経管栄養剤を直接胃に注入する方法です。
- 経管栄養
- 食道や胃を通す栄養チューブから栄養剤を供給する栄養摂取方法。経口摂取が困難または不十分な患者に対して、必要な栄養を補給するために実施されます。