問95
状況設定
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。
Aさんは発熱、咳嗽、粘稠痰、呼吸困難を認めたため受診し、肺炎を伴う慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断されて入院した。入院後、薬物療法によって病状は改善し退院が決定した。看護師がAさんに退院後の生活について尋ねると、今回の入院をきっかけにAさんは退職し、家事に専念すると答えた。Aさんの呼吸機能に対する負荷が最も小さい動作はどれか。
- 1食べる直前に調理する。
- 2部屋全体に掃除機をかける。
- 3頭より高い位置に洗濯物を干す。
- 4買い物した荷物をカートで運ぶ。✓ 正解
正解
4
解説
COPD患者では労作時に息切れが強まるため、呼吸への負荷が小さい動作を選ぶ。とくに上肢を挙上する動作や息を止めて力む動作、反復・長時間の動作は呼吸補助筋を消耗させ呼吸困難を強める。買い物した荷物をカートで運ぶ動作は、重い物を持ち上げず押して運ぶため上肢・体幹への負荷が小さく、呼吸機能への負荷が最も小さい。したがって選択肢4が正答である。
選択肢の解説
1食べる直前の調理は時間的制約のなかで動作が集中し、必ずしも負荷が最小とはいえない。
2部屋全体に掃除機をかける動作は反復的で長時間を要し、呼吸への負荷が大きいため適切でない。
3頭より高い位置に洗濯物を干す動作は上肢挙上を伴い呼吸困難を強めるため、負荷が大きく適切でない。
4カートで荷物を運ぶ動作は重量物を持ち上げず押して運ぶため負荷が小さく、最も適切であり正しい。
用語
- 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉
- 喫煙などの有害物質の長期吸入により、気道と肺胞に進行性の破壊が生じる疾患。気道の炎症と狭窄により、労作時に呼吸困難が強く現れ、活動量の制限につながるため、退院後の生活指導では呼吸機能への負荷を最小化した動作の選択が重要です。
- 急性増悪
- 慢性疾患の患者が、感染や過労などの誘因により、病状が急速に悪化することを指します。本事例では肺炎を伴う急性増悪で入院し、薬物療法による改善後の退院となりました。
- 粘稠痰
- 粘度が高く、粘り気が強い痰を指します。COPD患者では気道炎症により分泌物が増加し、この粘稠痰が発症時の症状として現れやすく、呼吸困難をさらに増悪させる要因となります。