問104
状況設定
A君(5歳、男児)は共働きの両親と3人で暮らしている。2歳6か月で自閉スペクトラム症と診断され、保育所と療育センターに通っている。保育所の健康診断で低身長を指摘され、受診を勧められて両親と来院した。A君は待合室を走ったり診察室の扉を開けたりしていた。診察室に入ると「頑張ろう」と泣きながら叫び、恐怖心を抑えている様子だった。母親は「Aは病院が苦手で、予防接種はAの手足と体を看護師さん3人で抑えて行ってきましたが、繰り返し説明することで、抑えなくても注射ができるようになりました」と話した。診察の結果、後日精査に成長ホルモン分泌刺激試験を行うことになった。母親から「Aが血液検査でパニックを起こすのではないかと心配です」と発言があった。
成長ホルモン分泌刺激試験の結果、母親が自宅で毎晩A君に成長ホルモン製剤を注射することになった。外来で母親は注射の手技を習得し、A君も注射に慣れた。自宅での注射に向けて、母親に確認する事項で優先度が高いのはどれか。
- 1保育所でのA君の様子
- 2A君と家族の日課✓ 正解
- 3家族の経済状況
- 4祖父母の居住地
正解
2
解説
成長ホルモン製剤は毎日就寝前など決まった時間に皮下注射を継続する必要があり、長期にわたり家庭で確実に実施できる仕組みづくりが在宅自己注射導入の鍵となる。共働きで保育所・療育センターにも通うA君と家族にとって、注射を生活のどの時間帯に無理なく組み込めるかを把握することが治療継続の前提となる。したがって、優先度が高いのはA君と家族の日課を確認することであり、生活リズムに合わせた注射のタイミングや実施者を具体的に検討できる。
選択肢の解説
1保育所でのA君の様子は発達支援上重要だが、自宅での毎晩の注射を確実に行うために最初に確認すべき事項ではなく、優先度は低い。
2正しい。毎晩の注射を生活に無理なく組み込むには、起床・食事・就寝など家族とA君の日課を把握し、実施しやすい時間帯と実施者を具体的に検討することが最も優先される。
3経済状況は治療費負担に関わる情報ではあるが、自宅での注射手技を生活に組み込むために最優先で確認する事項ではない。
4祖父母の居住地は支援者を検討する際の参考にはなるが、毎晩の注射を確実に実施するための最優先事項ではない。
用語
- 成長ホルモン分泌刺激試験
- 成長ホルモン分泌低下の有無を診断するため、薬剤投与後の血中成長ホルモン濃度の変化を観察する検査。本設問のようにこの試験で欠乏が確認された場合は、ホルモン補充療法(成長ホルモン製剤の自己注射)が導入される。
- 成長ホルモン製剤
- 成長ホルモン(ソマトトロピン)不足を補うため、自宅で定期的に皮下注射される医薬品。本設問では毎晩の投与が予定されており、長期継続が必要なため家族の生活リズムへの適応が重要となる。