問95
状況設定
Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤を自覚した。大学病院で非Hodgkin〈ホジキン〉リンパ腫と診断され化学療法導入目的で入院した。バイタルサイン:体温37.1℃、呼吸数16/分、脈拍84/分、整。身体所見:顔面に浮腫を認める。検査所見:Hb 12.8g/dL、白血球6,400/μL、総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.1g/dL。胸部造影CT:縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫を認める。
AさんはR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)を受けた。AさんのR-CHOP療法の初日に生じる可能性がある合併症はどれか。
- 1脱毛
- 2口内炎
- 3低血糖
- 4好中球減少症
- 5腫瘍崩壊症候群✓ 正解
正解
5
解説
R-CHOP療法初日に生じる可能性がある合併症を問う問題である。非ホジキンリンパ腫のように腫瘍量が多く化学療法に感受性が高い腫瘍では、治療開始直後に大量の腫瘍細胞が崩壊し、高尿酸血症・高カリウム血症・高リン血症・低カルシウム血症をきたす腫瘍崩壊症候群が生じうる。これは投与初日から起こりうる緊急性の高い合併症であり、正答は「5 腫瘍崩壊症候群」である。脱毛・口内炎・好中球減少は数日〜数週後に出現する遅発性の有害事象である。
選択肢の解説
1脱毛は抗がん薬投与後おおむね2〜3週間してから出現する遅発性の有害事象であり、初日に生じるものではないため誤り。
2口内炎(粘膜障害)は投与後数日〜1週間以降に生じることが多く、初日に起こる合併症ではないため誤り。
3R-CHOPで低血糖が初日に生じる典型的機序はなく、プレドニゾロンによりむしろ高血糖傾向となるため誤り。
4好中球減少症は骨髄抑制により投与後おおむね1〜2週間で最低値(nadir)となる遅発性の合併症であり、初日には生じないため誤り。
5腫瘍量が多く感受性の高いリンパ腫では治療初日に大量の腫瘍細胞崩壊により電解質異常(高K・高P・高尿酸・低Ca)と急性腎障害をきたす腫瘍崩壊症候群が起こりうるため正しい。
用語
- R-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)
- 非ホジキンリンパ腫の標準的な化学療法レジメンです。リツキシマブはモノクローナル抗体、他4剤は化学療法薬で、これらを組み合わせることで腫瘍細胞の崩壊を促進し、初日から腫瘍崩壊症候群などの急性合併症が生じる可能性があります。