問99
状況設定
Aさん(71歳、女性)は夫と10年前に死別し、1人で暮らしている。息子は結婚して他県に住んでいる。Aさんは、3か月前に脳梗塞を発症して要介護1となり、介護老人保健施設に入所した。Aさんは老人性白内障があるがADLに支障はなく、認知機能やコミュニケーションに問題はない。食事は自力で摂取できる。紅茶が好きで、毎日カップ2、3杯は飲んでいる。我慢できない強い尿意があり尿が漏れてしまうため、下着に尿取りパッドを付けている。トイレには自力で移動でき、下着やズボンの上げ下ろしは自立している。排便は2日に1回である。
5日後、Aさんは解熱し、少しずつ食欲が出てきた。下腹部痛は消失し、尿失禁の回数も少なくなった。症状の再燃を防止するためのAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 12時間ごとに排尿誘導する。
- 2用手圧迫排尿の方法を指導する。
- 3排尿の度に陰部を洗浄するように促す。
- 4尿取りパッドの交換回数を増やすように指導する。✓ 正解
正解
4
解説
尿路感染症が軽快した後、再燃(再発)を予防するための対応を問う問題である。尿失禁により陰部が尿で汚染された状態が続くと細菌が増殖し尿路感染症を繰り返しやすいため、尿取りパッドをこまめに交換して陰部を清潔・乾燥に保つことが再燃予防に有効である。よって正答は「4 尿取りパッドの交換回数を増やすように指導する」である。
選択肢の解説
1Aさんは尿意切迫感を訴える切迫性尿失禁であり、2時間ごとの一律な排尿誘導が再燃防止の最適な対応とはいえない(また尿意は保たれている)ため、本問では適切でない。
2用手圧迫排尿(クレーデ法)は尿閉・溢流性失禁などへの方法であり、感染再燃予防の対応ではなく不適切である。
3排尿の度に陰部を洗浄すると皮膚の常在菌叢や皮膚バリアを損ない、かえって皮膚トラブルや感染を招きうるため、毎回の洗浄は適切でない。
4尿取りパッドをこまめに交換して陰部を清潔・乾燥に保つことは、尿による汚染と細菌増殖を防ぎ尿路感染症の再燃予防に有効であるため適切である。
用語
- 尿失禁
- 膀胱の括約筋機能障害や神経因性膀胱などにより、自分の意思に反して尿が漏れ出る症状。陰部が尿で汚染された状態が継続すると、細菌増殖の温床となりやすく、尿路感染症を繰り返すリスクが高まります。
- 再燃
- 一度軽快した疾患の症状が再び現れることです。尿路感染症では、不十分な清潔・乾燥の保持により同様の炎症症状が繰り返し発生することを指し、予防的なケアが重要です。
- 解熱
- 発熱が下がり体温が正常範囲に戻ることです。感染症の治療効果を示す臨床指標となり、症状の改善を意味しますが、完全な治癒には清潔・乾燥の維持などの継続的なケアが必要です。