問112
状況設定 問112-114
Aさん(26歳、女性)は高校生のころからリストカットを繰り返し、ボーダーラインパーソナリティ症〈境界性パーソナリティ障害〉の診断を受けている。最近仕事が忙しくなったパートナーに「今すぐ返事が欲しい。私を見捨てるのか」とメールを送り続け、帰宅したパートナーが、手首から血を流しているAさんを見つけた。パートナーに付き添われて総合病院の救急外来を受診したAさんは、意識清明で神経損傷はなく、手首の処置をした看護師に「消えてしまいたい。生きている意味がない」と話した。
処置時の看護師の声かけで適切なのはどれか。
- 1「パートナーの気持ちを考えましょう」
- 2「死にたいと思うほどつらかったのですね」✓ 正解
- 3「メールの返信はすぐにはできないものですよ」
- 4「つらくても自分を傷つけることはやめましょう」
正解
2
解説
境界性パーソナリティ症でリストカット(自傷)を繰り返す患者への、救急外来での声かけを問う設問である。「消えてしまいたい。生きている意味がない」という訴えには、まず本人のつらさや絶望感を否定せず受け止め、感情を言語化できるよう支持的に関わることが治療的関係の基盤となる。「死にたいと思うほどつらかったのですね」は、苦痛に共感し受容を示す対応で、選択肢2が適切である。よって正答は選択肢2である。
選択肢の解説
1「パートナーの気持ちを考えましょう」は、今まさに苦痛を訴えるAさん自身の感情に向き合わず、相手への配慮を求めるもので受容的でなく不適切である。
2「死にたいと思うほどつらかったのですね」は、Aさんのつらさや絶望感に共感し受け止める支持的な対応で、感情の表出を促すため適切である。
3「メールの返信はすぐにはできないものですよ」は、見捨てられ不安を抱く患者を説得・否定する対応で、現時点の苦痛を受け止めておらず不適切である。
4「つらくても自分を傷つけることはやめましょう」は、感情を受け止める前に行動を一方的に禁止・指導する対応で、まず共感を要する段階としては適切でない。