問45
状況設定 問44-46
Aさん(43歳、経産婦、専業主婦)は夫(45歳、会社員)と男児(2歳)と3人暮らしである。妊娠18週5日。Aさんは「体がだるいですね。子どもの世話をするだけで疲れてしまうので、なるべく寝て過ごすようにしています」と言う。身長160 cm、体重65 kg(非妊時体重62 kg)、血圧132/80 mmHg。Hb10.4 g/dL、Ht32.7%。随時血糖92 mg/dL。尿蛋白(−)、尿糖(−)。子宮頸管長35 mm。
Aさんは現在妊娠30週3日である。体重69 kg。血圧142/90 mmHg。尿蛋白(−)、下肢浮腫+。時々腹部が張る感じがすると話す。推定胎児体重1,520 g、胎児心拍正常。医師から1週後に受診するようにとの指示があった。Aさんは「夕方になると足の浮腫がひどくなります。自宅で血圧を測っています。子どもの世話があるので、入院になると困ります」と言う。助産師がAさんに行う生活指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1「水分摂取を控えましょう」
- 2「自宅での血圧測定を続けましょう」✓ 正解
- 3「家事や育児の合間には安静を心がけましょう」✓ 正解
- 4「カルシウムの多い食品の摂取は控えましょう」
- 5「摂取エネルギーは、1日1,600 kcal程度にしましょう」
正解
2・3
解説
妊娠30週3日、血圧142/90mmHg、下肢浮腫+の妊婦(妊娠高血圧症候群が疑われる状態)に対する生活指導を2つ選ぶ問題である。家庭血圧の測定を継続して血圧の推移を把握すること(選択肢2)と、上の子の世話で疲れやすい状況のなか家事・育児の合間に安静を心がけ過労を避けること(選択肢3)が適切で、これらが正答である。妊娠高血圧症候群では極端な水分制限や厳しいエネルギー制限はむしろ有害とされ推奨されない。カルシウムは血圧管理上むしろ十分な摂取が望ましく制限する根拠はない。
選択肢の解説
1妊娠高血圧症候群において循環血漿量を減らす極端な水分制限は推奨されておらず、むしろ有害となりうるため不適切である。
2自宅で血圧を測定しており、家庭血圧の測定継続は血圧の日内変動や推移の把握に有用で適切なため正しい。
3上の子の世話で疲れやすい状況であり、家事・育児の合間に安静をとり過労を避けることは血圧管理上適切なため正しい。
4カルシウムは血圧管理の観点からむしろ十分な摂取が望ましく、摂取を控える指導には根拠がなく不適切である。
51日1,600kcalは妊娠後期の必要エネルギーに対し過度に低く、妊娠高血圧症候群に対しても厳しいエネルギー制限は推奨されないため不適切である。
用語
- 下肢浮腫
- 下肢に体液が貯留して腫脹する現象。妊娠中は子宮増大による静脈圧の上昇や血液の体液成分増加により生じやすく、特に妊娠高血圧症候群を疑う場合に重要な所見となります。
- 推定胎児体重
- 超音波検査などの測定値から計算される、現時点における胎児の予測体重。妊娠週数に対する成長が適切かを評価するために用いられ、胎児健全性の判定の重要な指標です。