問題本文
特段の取決めをしないで,A社がB社にソフトウェア開発を委託した場合,ソフトウェアの著作権の保有先として,適切なものはどれか。
選択肢
- ア.ソフトウェアの著作権はA社とB社の双方で保有する。
- イ.ソフトウェアの著作権はA社とB社のどちらも保有せず,消滅する。
- ウ.ソフトウェアの著作権は全てA社が保有する。
- エ.ソフトウェアの著作権は全てB社が保有する。
正解
エ. ソフトウェアの著作権は全てB社が保有する。
解説
著作権は著作物を創作した時点で,実際に創作した者に対し方式主義によらず自動的に発生する権利である(無方式主義). ソフトウェア開発を委託した場合,特段の取決め(著作権譲渡契約等)がない限り著作権は実際に創作活動を行った受託先(B社)に帰属し,委託元(A社)は対価を支払って成果物の使用権(ライセンス)を得るに過ぎない. A社に著作権を帰属させたい場合は,契約書で著作権譲渡を明記する必要がある. 共有・消滅・自動的なA社帰属はいずれも法律の原則に反する誤りで,実務でも委託契約時に著作権の帰属条項を明確化しておくことがトラブル防止のために重要となる.
選択肢ごとの解説
- ア.誤り. ソフトウェアの著作権をA社とB社の双方で共有するには契約上の共有合意が必要で,特段の取決めがない場合は自動的に共有とはならない. 著作権法の原則では創作者(本件ではB社)に単独で帰属するのが基本であり,委託料の支払いだけで共有関係が成立する仕組みにはなっていない.
- イ.誤り. 著作権は創作した時点で自動的に発生する権利であり,委託関係があっても消滅することはない. 日本の著作権法では原則として著作者の死後70年(法人著作の場合は公表後70年)保護されるため,委託関係を理由に著作権が消滅するという解釈は法律上の原則に明らかに反する.
- ウ.誤り. 著作権が全てA社(委託元)に自動的に帰属することはなく,A社に帰属させるためには著作権譲渡契約等の明示的な取決めが必要である. 委託料を支払っただけで著作権が自動的に移転するわけではないため,委託元が成果物の著作権を保有したい場合は契約条項で明記しておく必要がある.
- エ.正しい. 著作権法では実際に創作した者に著作権が発生するため,特段の取決めがない場合は受託先B社が著作権を保有し,A社は使用権を得るのみとなるため. 契約で著作権譲渡を明記すれば帰属を変更できるが,本問のように取決めがない場合は受託者帰属が原則となる.
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