問題本文
著作権の帰属に関する説明のうち,適切なものはどれか。ここで,著作権に関する特段の契約や取決めはないものとする。
選択肢
- ア.映画の著作権は,その原作者だけに帰属する。
- イ.原稿がない即興の講演であっても著作権は,講演者に帰属する。
- ウ.憲法や法令,裁判所の判決の著作権は,国や地方公共団体に帰属する。
- エ.新聞連載小説の著作権は,原作者ではなく新聞社に帰属する。
正解
イ. 原稿がない即興の講演であっても著作権は,講演者に帰属する。
解説
著作権法では,思想又は感情を創作的に表現した著作物を,創作と同時に著作者に帰属させると定める.即興の講演でも著作者は講演者でその時点で著作権が発生する.原稿の有無は著作物性に関係なく,口述による表現があれば成立する.映画の著作権は通常,監督・脚本家など制作に創作的に寄与した者が著作者で,著作権そのものは映画製作者に帰属する(原作者だけではない).憲法・法令・裁判所判決などは権利の目的とならない著作物として著作権の保護対象外(著作権法13条).新聞連載小説は職務著作でない限り原作者(執筆作家)に著作権が帰属する.以上からイが正解.
選択肢ごとの解説
- ア.映画の著作物は監督・撮影監督・脚本家など制作に創作的に寄与した者が著作者となり,著作権法上は著作権を映画製作者(プロデュース企業)に帰属させる仕組みになっている.原作者は原作小説等についての著作者であり,映画の著作権が原作者だけに帰属するわけではないため誤り.
- イ.正解.原稿がない即興の講演であっても口述自体が思想・感情の創作的表現にあたり著作物として認められる.著作権法10条1項1号は講演等の言語の著作物を例示しており,著作権は創作者である講演者に帰属する.固定化や原稿の有無は著作物性の要件ではないため適切.
- ウ.憲法・法令・条約・裁判所の判決・告示・通達など国や地方公共団体の公的著作物は,著作権法13条で「権利の目的とならない著作物」として明示され,著作権の保護対象外と定められている.広く国民に周知すべき性質を持つため誰でも自由に利用できる扱いで,国や地方公共団体に帰属するわけでも当然になるものでもなく,そもそも著作権が及ばないため記述は誤り.
- エ.新聞連載小説の著作権は職務著作の要件(法人発意・職務遂行・法人名義公表等)を満たさない限り,執筆した原作者(小説家)に帰属するのが原則.新聞社は通常,作家から掲載のための利用許諾を受けて連載するのが一般的で,著作権そのものは依然として作家本人にあるため,新聞社に当然帰属するという記述は誤り.
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