問題本文
過去の類似プロジェクトのコスト実績を用いて,新たに開始するプロジェクトのコストを類推し見積もった。このようなコスト見積り方法の特徴はどれか。
選択肢
- ア.詳細情報から積み上げる見積り方法より作業負荷が大きい。
- イ.プロジェクトの初期より後期の段階で活用されることが多い。
- ウ.他の見積り方法より正確なコスト見積り結果が期待できる。
- エ.他の見積り方法より見積りに要する費用は少ないが,正確さでは劣る。
正解
エ. 他の見積り方法より見積りに要する費用は少ないが,正確さでは劣る。
解説
類推見積りは,過去の類似プロジェクトの実績データを基準として,規模感や工数を類推する見積り手法である. 詳細なWBSを必要としないため,短時間・低コストで実施でき,プロジェクト初期(計画段階)の概算見積りとして有効. ただし,類似性に依存するため精度は実績の質と適用前提の確からしさに左右され,ボトムアップ見積りなど他の手法に比べ正確性は劣る. ファンクションポイント法は機能要素を点数化する見積り,ボトムアップ見積りはWBS要素を積み上げる手法であり,それぞれ精度や工数特性が異なる. 各手法の長所・短所を整理する力が問われる典型問題である.
選択肢ごとの解説
- ア.誤り. 詳細情報から積み上げる見積り方法(ボトムアップ見積り)よりも作業負荷が大きいというのは,類推見積りの特徴と反対の説明である. 類推見積りは過去実績から類推するため工数を要さない一方で,ボトムアップ見積りは要素ごとの積み上げで精緻だが手間がかかる. 本選択肢は両者の負荷関係を取り違えており不適切である.
- イ.誤り. プロジェクトの初期より後期で活用されることが多いというのも事実と異なる. 類推見積りは詳細情報が乏しい初期段階の概算見積りとして用いられることが多く,後期に詳細情報が揃ってからはより精度の高いボトムアップ見積りやパラメトリック見積りへ移行することが一般的である.
- ウ.誤り. 他の見積り方法より正確なコスト見積り結果が期待できるというのも誤りである. 類推見積りは過去実績の類似性に依存するため,個別性が高いプロジェクトでは誤差が大きく,精度の点では一般にボトムアップ見積りなど詳細手法に劣る. 簡便さは長所だが正確性で勝るわけではない.
- エ.正しい. 類推見積りは,過去の類似プロジェクトのコスト実績から類推して概算するため,他の見積り方法に比べ見積りに要する時間や費用が少なく実施できる. 一方で類似性に依存するため精度は他の詳細手法に劣るという特徴があり,本選択肢の説明と一致する.
ITパスポート 2016年 (平成28年 春期) の過去問一覧へ戻る・問46